2010年 11月 28日
刀語 第三話 |
今回は「千本で一本の刀」というなんじゃそりゃ的な武器属性設定なのだが、そこは中二的な要素を大人が読むに耐えうるスタイリッシュなギミックに仕立て上げる名人である西尾の手によってなんとか話として無理がないラインで収めることに成功してはいる。しかしその千刀を使った戦法は読んでて面白かったけど「それ実際には強くはないんじゃね?」という疑問符が頭につきまとってしまいハラハラドキドキを感じるには至らなかった。千人の巫女さんがいるという設定も全然活かされてなかったし、どうも西尾先生今回やっつけ仕事で筆を急いだんじゃないかと疑ってしまうくらい全体的に話が浅く薄かった。完成度は少しずつ下がってきてるような気はするが、代わりにとがめの萌えキャラとしての魅力が高まってきてる(お姫様抱っこのシーンは特に良かった)ので相殺してトントンというところか。あとついでに一点、たまに地の文に作者のメタ言及的な文章が混ざることがあるのはギャグの一環のつもりなのか知らないけど、ただでさえ薄い時代小説の空気がさらに薄まるので本気でやめていただきたい。たまに悪ノリが作品の完成度を下げることがあり、そしてそれを全然恐れてるように感じないのがある意味で西尾維新という作家の大物感を高めているところがあるといえばあるんだけれど。
<個人的評価>☆☆☆
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by yukky_kamakura
| 2010-11-28 16:02
| ラノベ